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子宮体がんの治療成績

子宮体がんについて

 子宮体がんは、子宮の奥の子宮内膜すなわち生理で出血する場所から発生します。女性ホルモンとの関連が深く、妊娠を経験していない人、若い時から生理不順であった人、肥満や高血圧、糖尿病を有する人は子宮体がんになる危険性が高いといわれます。 図1に当院での子宮体がんの発生年令を示します。50歳代をピーク(41%)に82%と多くが閉経前後の40〜60才代で発症しています。子宮体がんは、生理と異なる出血いわゆる不正出血という症状がおこりやすい病気です。しかし、40〜60歳代の出血は閉経前後のホルモン分泌の崩れによる出血と自己判断され、子宮体がんが長く放置される事例もしばしばみられます。危険因子を持つ方で不正出血があれば、速やかに子宮体がん検査を受けましょう。

図1:坪井病院での子宮体がんの年代別症例数

子宮肉腫

 次に、まれな病気ですが子宮肉腫という病気が存在します。この病気は主に子宮の壁の中から発生し子宮体部の悪性腫瘍の10%前後を占めます。

1) 子宮の壁の中から発生するため、早期発見が難しい。
2) 悪性度が高く、早期に肺などに転移を起こす。
3) 放射線や抗がん剤が無効なことが多い。

等の理由で治療が困難な病気です。図2に示すように子宮体がんに比べても治療成績は不良です。子宮筋腫といった良性の病気と判断されることも多いようです。下腹部の腫瘤が急激に大きくなったり、閉経後に大きくなる場合はこのような病気の可能性がありますので婦人科受診をお勧めします。

図2:坪井病院での子宮体がんと子宮肉腫の治療成績の比較

子宮体がん臨床進行期

 一方、子宮体がんは婦人科のがんの中では、早期例が多く治癒が望める頻度の高いがんといえます。しかし、進行した子宮体がんはやはり治療成績は良くありません。子宮内膜に発生した子宮体がんが内膜にとどまっている段階をIa期とよびます。やがてがんは子宮の壁(筋層と呼びます)に侵入を始めます。筋層への侵入が壁の厚さの半分以内にとどまっている状態をIb期と呼びます。この段階までであれば再発や転移の可能性はほとんどありません。がんが子宮の壁の厚さの半分を超えて深く侵入するとIc期と呼ばれます。子宮の壁の外側半分は血管が多く存在し、ここまでがんが侵入すると血管にがんが入り子宮から流れ出て、再発や転移を起こす可能性が出てきます。がんが子宮頸部に拡がるとII期と呼ばれます。さらにがんが子宮を超えて子宮の外側表面に及んだり卵巣に転移するとIIIa期になります。膣まで拡がるとIIIb期、リンパ節に転移するとIIIc期となります。膀胱や直腸にがんが及ぶとIVa期、肺や肝臓などに遠隔転移を起こすとIVb期となります。(図3)

図3:子宮体がんの臨床進行期

坪井病院の進行期別治療成績

 当院での子宮体がんの進行期別の治療成績を図4に示します。Kaplan-Myer曲線といって、縦軸に生存率、横軸に時間経過を示しています。右に行っても高い生存率を維持していいれば治療成績はよく、右肩下がりに生存率が低下する群の治療成績は芳しくないといえます。 Ia,Ib期では生存率は100%ですが、Ic,II期では若干ながらの死亡例がみられます。 III,IV期では治療成績は不良で多くの死亡例がみられますが、充分な治療により5年以上生存している人も30%ほどいます。子宮体がんの治療は基本的に、手術を行いがんの摘出とともに拡がりを確認することが重要です。手術でIa,Ib期であれば手術のみでの治癒が十分に期待できます。手術でIc期以上の病変が確認されれば、多くは抗がん剤、時には放射線による追加治療が行われます。子宮体がんの治療にあたっては、子宮周囲のリンパ節を含めた充分な手術による病変の拡がりの正確な把握と、必要があれば術後の追加治療といった知識と経験が大切です。
 当院では年間25例前後の子宮体がん例の治療を行っており、肉腫例についても充分な経験があります。子宮体がんや肉腫に関する最新の治療情報等も提供できると自負しております。

図4:坪井病院での子宮体がんの臨床進行期別の治療成績の比較